折り紙へ続く道(山口智之)

・私が創作した折り紙作品の解説・初心者向け創作折り紙のやり方・他者が創作したお気に入り作品の紹介・折り紙について思うことを書きます。

孔雀(創作者:前川淳さん)

折り紙へ続く道へようこそ。

私の大好きな作品をご紹介いたします。

 

これです!

孔雀(創作者:前川淳さん)

クジャクと読みます(念のため・・・)

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では、私なりの視点でこの作品の魅力を語ります。

 

1.一目で「それ」と分かるデザイン

 

この作品、本物の孔雀を知っている人ならば、一目で「孔雀を折り紙で作ったのだ」と伝わるデザインだと思います。

 

孔雀の特徴を分かりやすく捉えています。

ポイントを以下に挙げてみましょう。

 

①大きく広がる「扇」

②鳥類を連想させる「頭」「足」「体」

③上記①②の大きさのバランス

 

完璧です。

 

2.「折り紙らしさ」がある

私が考える「折紙らしさ」とは折り込みすぎない「スッキリしたデザイン」のことです。

 

この作品のスッキリしている部分とは、

紙が重なって厚みが多くなる部分がない。

これが「折り紙らしさ」に繋がっていると思います。

 

必要最小限の特徴を捉え、作品を「孔雀に見える」ようにデザインする。

創作者が神技をもって成し遂げたデザインと言えます。

 

※補足

「折り紙らしくない」作品もすばらしい

スッキリしたデザインの作品が「折り紙らしい」なら。

 

折が細かくリアルさを追求した作品は「折り紙らしくない」ということになります。

これは、否定の対象になるのか?

 

そういうことではありません。

 

「折り紙らしくない」とは

折り紙とは思えないほど細かくてリアルな作品のことです。

 

つまり「折り紙らしくない」は誉め言葉です。

(誤解しないでね)

 

折り紙作品は全て素晴らしいです!

 

 

本題へ戻ります。

3.幾何学(きかがく)的な構造を「扇」に融合

幾何学的とは、形状が法則的であることです。

この作品の「扇」は規則性のある独特な形状をしています。

 

これは「ミウラ折り」と言って、人工衛星ソーラーパネルを効率的に畳む技術だそうです。

 

自然界には存在しない人工的な形状を動物を表現するパーツに使用しているのです。

 

孔雀の美しい「扇」の表現方法として

写実性(本物と同じように表現する)を求めるのではなく

幾何学模様を用いて「扇の形」+「美しさ」を表現しています。

 

まさに名作中の名作です。

 

4.まとめ

この作品の素晴らしいと思う部分として、

 

1.一目で「それ」と分かるデザイン。

2.「折紙らしさが」ある。

3.幾何学(きかがく)的な構造を「扇」に融合させている。

 

ことをポイントして挙げました。

 

モデルが存在する折り紙作品を創作する場合は、

「それ」に見えるための写実性は不可欠です。

 

その中で完成形のデザインに

「折り紙らしい」を求めるのか?

「折り紙らしくない」を求めるのか?

 

その答えを探し続けることも「折り紙へ続く道」なのだろうと感じました。

 

 

作品目 孔雀

創作者 前川淳さん

折り方 不切正方形一枚

出 典 折紙探偵団MAGAZINE61号

発行所 日本折紙学会

 

折り手 山口智

用 紙 トーヨー折り紙(24㎝)

 

最後まで読んでくれてありがとうございました。

(@^^)/~~~